参加している音訳ボランティア団体のための原稿です。最終回です。
私は仕事で関西に行くことがある、と以前のまちかど情報でお話しましたね。11月の終わりにも機会があり、4日間神戸に滞在しました。初日は仕事が長引き、ホテルに戻ったのは夜の9時を回ってました。そのころはコロナの第五波が落ち着き緊急事態宣言も解けて、コロナ禍が始まって以来一番普通の生活に戻りつつあるときでした。8月に神戸に来たときは蔓延防止策の最中で夜の21時にはお店はみんな閉まっていたのですが、この時は大丈夫。初めての神戸の夜だ~!やった!ということで、食事に出掛けることにしました。
とはいえ、私は方向音痴.。それにまあだいぶ年季がいってるとはいえ女性の夜の一人歩きは不安です。あらかじめネットお店を検索してよく道順を調べて出かけることにしました。11月でも夜は冷えてきます。それに疲れてもいたので何か温かいものを、と思って近くのうどん、を検索したら、「あんかけ亭」というお店がヒットしました。評判が良かったしホテルから3分、ということだったので行ってみることにしました。
ホテルを出て、グーグルマップを見ながら一本裏の通りに入ったら、そこはまるで別の世界のような繁華街でした。若者たちが、街のあちこちに群れになって立っています。揃いもそろって黒い服を着た男の子たち、短いスカートと厚底の靴を履いた若い女の子たちもいっぱい立っています。通常の営業ができるようになったとはいえ、どう見てもお客さんよりお客さんを探している人の人数のほうが多そうです。後日、地元の仕事仲間に聞いた話によると、神戸三宮の街は駅を挟んで山側と海側では、全然雰囲気が違うそうです。山側の駅周辺の地域は、こちらで言うなら、新宿の歌舞伎町だそうです。海側の駅周辺はきれいになった最近の渋谷、もっと海に近くなると表参道並みのブランド街が広がるそうです。南京町、と呼ばれる横浜中華街のミニチュア版も渋谷にあたるエリアのそばにあって、どこもぐるっと歩いて回れるそうです。とても魅力的な街ですよね。
でもそんなこととはつゆ知らず、私はグーグルの口コミだけを見て、いわば歌舞伎町の真ん中にあるうどん屋さんを目指してしまったわけです。ほとんど泣きそうな気もちで客引きの黒服たちをかき分け、目的地付近についてもお店は見つかりません。さらに泣きそうになって辺りを行ったり来たりしましたが、やはり見つかりません。
意を決して、そばに立っていた二人組のミニスカート厚底靴の女の子たちに「スミマセン…」と尋ねてみました。彼女は「なんや、このオバハン。」とは言わず、「はい、どうされました?」と答えて、ささっと道案内をしてくれました。関西の女性に何か尋ねると、大体「どうされました?」と返してくれるのですが、これはとてもいいですね。すごく親切な感じがします。
やっとのことで初めてのお店「あんかけ亭」の席に座り、「梅わかめあんかけうどん」を注文しました。大きなどんぶりにたっぷりのおつゆ。そのおつゆがトロリとして見えるうどんが運ばれてきました。あんかけうどん、というのも私は初めてでした。最初は五目そばのように普通のおつゆの上に何かあんでとじたものがかかっている料理だと思っていたのですが、「あんかけうどん」というのは正確には「かけ」ではなく「あんつゆうどん」。つまりおつゆ全体があんでした。これが本当においしかったです。おつゆ全体があん、というのは冷めないし、とろ味がうどんに絡むので薄味で良いのです。中身はもちろん、おつゆの最期の一滴まで私は飲み干してしまいました。不安に負けず、ここまで来てよかった~、としみじみ思いました。
後日、思い出して似たようなものを作ってみました。まずめんつゆを昆布だしか水で伸ばし、わかめ、梅干1個、 おろすか刻むかしたショウガ、うどんを入れて温めて、 一人分なら大匙1杯の片栗粉を同量くらいの水で溶いたものを入れ 、とろみがつくまで煮ます。最後に大葉や三つ葉など、 薬味を散らして完成。ノリを載せてもいいですね。 とろみはお好みですが、試しに濃いめに、 もっちりとした感じに入れてみてください。 ほんとうにあたたまっておいしいですよ。
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